12.16.2012

Vanishing Point from Takuya Hosogane


Vanishing Point from Takuya Hosogane on Vimeo.

かなりご無沙汰しておりました。
仕事やら、自分の個人的な制作やらで時間をとられていて、ブログが疎かになってました。

ということで、今回からまた気をとりなおして、不定期ながらモーショングラフィックスについて
書いていこうと思います。


今回は、日本のモーショングラフィックス界隈の中では、もはや「神」と言われているTakuya Hosoganeの「Vanishing Point」を取り上げたいと思います。



16:9でも4:3でもなく、正方形の特殊な画面サイズですが、ミニマルなモーショングラフィックスの基礎が詰まった作品です。

white screen に本人のインタビューが掲載されていますので、今回は一点に絞って書いていきます。
それはトランジションについてです。

トランジションとは、一言で言えばカットの切り替え効果のことです。
普通ならば、フェードアウトやワイプなど、いろいろと効果はあるのですが、モーショングラフィックスにおいては、普通の映像とは違った切り口からトランジションを捉えることができます。
(映画などの実写映像でも使われていますが、モーショングラフィックスだと極端に分かりやすいです。)

個人的な解釈では、トランジションのパターンは次の5つに分類することができます。
1. 前カットとの共通項を残す(形・色・動き)
2. 後カットで出てくるオブジェクトによって前カットのオブジェクトを隠す
3. 前カットのオブジェクトが消滅し、後カットのオブジェクトが現れる
4. 同じオブジェクトを違う視点から映す
5. どれにも当てはまらない極端な変化

4と5は、普通の映像でも多用されているので割愛し、残った3つについてVanishing Point のシーンを取り出してみていくと、
 
 1. 前カットとの共通項を残す(形・色・動き)













三角形の下に行くカットと次の丸がはじかれるカットは、動きを継承させています。

2. 後カットで出てくるオブジェクトによって前カットのオブジェクトを隠す















白い丸によって、前カットの黒い球が隠されています。

3. 前カットのオブジェクトが消滅し、後カットのオブジェクトが現れる 









































 前カットの黒い球が、細いラインとなって画面に迫って、次のカットに移っています。

 この作品の一番の見所は、前と後のカットが全く別の絵になっているにも関わらず、ある程度人の連想によって補完させる形で、絶妙にトランジションを使っているところです。

これは、先にあげたインタビューにもありましたが日本のアニメーション文化から強い影響を受けていると思われます。
詳しくは日本のアニメーションの歴史について掘り下げる必要がありそうですが、簡単にまとめると、日本のアニメーションは如何に節約するかを考えながら進化しています。
そのため、コマ数も少なく、どれだけ少ない枚数でも自然に見せるかが重要になってきます。
 そのためには、見る人が連想できる範囲で次の絵に飛ばす必要があり、その方法をモーショングラフィックスに応用しているところがこの作品の面白いところです。

こう考えると、今Takuya Hosogane がアニメーションのディレクションを行なっているのもなんとなくつながっている気がしますね。

次は、takcomか、Jr.carnest辺りを取り上げられたらと思います。
それではー



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